『西の魔女が死んだ』

西の魔女が死んだ (新潮文庫)以前にも書いたように、映画「西の魔女が死んだ」に興味を持ったので、原作『西の魔女が死んだ』を買いました。
最初に謝ります。内容期待してないって書いて、ごめんなさいっ!
ティーンも大人もぜひ読んでください。
お薦めします!


私の場合、気分良く読書に集中したいときは、たいてい喫茶店に行きます。
なんかねー、自分ちでは落ち着いて読書できないんですよー。
周りじゅうに雑事が転がってるからかな。
で、今回は、ドトールへ。ドリンクはもちろんLサイズ。しっかり読むつもりでいますからね。


では、まず登場人物をざっと紹介しましょうか。

主人公・まい。中学生の女の子。クラスのスケープゴートにされてしまった。そんな学校には行きたくない。感受性豊かで、10代らしい悩みや苦しみをいっぱい抱えている。
パパ。単身赴任で家にはいない。
ママ。自分の仕事上のキャリアも大事にしたい人だから、仕事を辞めてパパの転勤先に家族で移り住むという選択肢はない。そんなママだから、手のかからない子だと思ってたまいが学校に行かないと言い出して、面倒なことになったと思っている。
西の魔女。ママの母親、つまり、まいのおばあちゃんで、英国人。ママとまいがおばあちゃんに「西の魔女」というニックネームを付けた。自然の恵みを享受し、オーガニックな生活を送ってる。

淡々とした語り口調は、おばあちゃんの生活をまさに象徴していると思います。
漢字の表記もごくわかりやすくしてあるので、主人公と同世代のティーンを意識して書かれたものであることがうかがえるけれど、年齢によっていろんな印象を持つことができそうな、奥の深いお話です。
ドトールで読んだことを後悔することになるんですよ、私は。それはまた後で…。


まいは学校に行く代わりに、おばあちゃんの家に行くことになった。
おばあちゃんちは自然の豊かなところ。広い敷地には、菜園、ハーブ畑、バラなどの花畑、鳥小屋などがあり、日常の食生活に必要なものが敷地内で手に入る。
まいは、それまでの夜中までゲームをしていた生活から、植物の時間で生きる生活がスタートすることになった。
おばあちゃんはまいに「自分で決めること」の大切さを説く。そして、それを実行すること。

「自分で決めること」という言葉はこの小説にいくどとなく繰り返される大切なキーワードであるとともに、読者に問いかけていると思いますね。自分の意思で自分の人生を決めている?って。
ここに、おばあちゃんを英国人にした必然性があるんだと思いますねー。

日本人はとかく周りの人の様子から自分の行動を決めがちだから。
テレビで、こんなアメリカンジョークをやってたのを知ってる人もいるでしょ。沈没しかけている船から飛び降りさせるとき、日本人には「みんなそうしてますよ」と言えばいいと。よく言い当てているなと思いますね。
とりわけ中高生の女の子は、みんなと合わせることが暗黙のうちに求められてると思うんですよ。合わせるためには、合っていない異端者、スケープゴートを作る必要がある。
この辺の話は語りだすと長くなっちゃうから、おいとこ。

おばあちゃんとの暮らしの中でまいは、おばあちゃんが実は魔女であることを告げられる。
どんな魔法が使えるのかは、本を読んで(あるいは映画を見て)のお楽しみってことで。
そして、まいは自分の意思で魔女の修行を始める。
でも、修行と言っても、やることは規則正しい生活を淡々と続けることだけ。朝ちゃんと起きて、きちんと三食を摂り、よく働いて、よく眠る。

この淡々としたオーガニックな生活が、大人にとっての魅力の一つですねー。
朝食のサンドイッチのために、卵と野菜とハーブをお庭から取ってくる生活♪
自分で育てたベリーを自分でジャムにして、朝食を摂る生活♪
洗ったシーツをラベンダー畑の上で乾かして香りを移すなんて、したことないもの!
たぶん映画では、この辺が映像で楽しめるんじゃないかと思うんですよねー。

読み進めるうちに、私はふと思ったんですよ。
英国人だから魔女って言葉がしっくりくるけど、日本語の感性で考えると、哲学者という言い方が相応しいんじゃないかって。
もちろん、魔女だからお話として面白いんですけどね。

両手で頬を優しく包んで、「あなたのような子が生まれてきて本当に良かった」とストレートに愛情を表現してくれるおばあちゃん。学校では異端者、家ではママのお荷物なんじゃないかと感じているまいにとって一番必要な、そのままの自分をすべて愛してくれる人との生活。
愛してもらうことで、本来の元気がまいに戻ってくる…。
愛し方の面でも、英国人という設定が生きているなーと思いますね。

こんな素敵なおばあちゃんだけど、実は、ママとおばあちゃんはうまくいっていない。
生き物として自然なあり方を尊重するおばあちゃんには、夫を単身赴任させて子供を家に残してキャリアウーマンに生きるママのやり方はいいとは思えない。でも、止めはしない。ママが決めたことだから。
ママは、おばあちゃんと一緒にいると、おばあちゃんがいいと思う生き方に流されるから反発してるフシがある。

ママと同じ壁に、まいも突き当たる。
それは、自立の始まりでもある。

うまいことに、引越しをしてパパとママとまいの3人で暮らすことが決まり、まいはおばあちゃんの家を発つことがとんとん拍子で決まっていく。
おばあちゃんとのわだかまりを引きずりつつ、新しい街と新しい学校へとまいは旅立っていった。

でね。大人になってしまった私は、紙幅の都合などからいろんなことを察知しちゃうんですねー、悲しいことに。
それだけじゃないわね。私の周りでももうすでにたくさんの人が彼岸へと旅立っていったから、わかっちゃうの。
これは、おばあちゃんとの今生の別れなんだよ? でも、まいは気がつかないんだね…って。

実は、おばあちゃんはまいとの生活のなかで魔法を見せていない。
でも、私は2つのことに使ったと推測してるんです。
ひとつは、転校先でまいが幸せに生きていけるかどうか。
もうひとつは、自分の死期。
ま、推測ですけどね。


私事だけど、祖父との最後の時間は中2のときでした。まいと似たようなお年頃。
私の祖父は日本人にしては珍しく、ストレートに愛情を表現する人だった。なにせ、抱っこと頬ずりから朝が始まるんだから。
なのに、私たち一家が家に戻る日は、朝から一度も目を合わせてくれなかった。ひと言も言葉を交わせなかった。
「また来るから、その日まで元気でいてね」
と私が言ったら、そっぽを向いて、早く車に乗れというジェスチャーをしたんだよねぇ…。
後部座席から振り返ると、車を凝視していた祖父の頭部は真っ赤だった。
泣くまい。そんな気合だったのかもしれない。かも…って、他に理由なんて考え付かないけど。
それまでそんな別れ方をしたことはなかったし、何だろうなー、第六感が言ってたんだよねー。
生きて会える日は来ないって。
だから、車の中で他の人たちが談笑しているのに、私一人がずーっと後ろを振り返っていたんですよねー。
実際、「また」はなかった。

そんな記憶が蘇ってきて、涙ボロボロですよ。体験があるから、心が思いっきり反応しちゃうんでしょうね。


お話に戻りますね。
まいは死をとても恐れてる。おばあちゃんちで起きた事件がさらに恐れを強くした。
その死というものがおばあちゃんに訪れたのだから、まいの心中は尋常じゃないくらい乱れている。

おばあちゃんちに着いて、まいは気が付く。
おばあちゃんはまいへ、素敵なプレゼントを残してくれていたことに。
それは希望と愛情、さらに死への恐怖を取り除いてくれる素晴らしいプレゼント。
それが具体的に何なのかは、本か映画で見てね(笑)。


そのプレゼントを見て、また過去の記憶が蘇ってしまいました。
私の恩師は、自分の死を悼み悲しんでくれるであろう家族、同僚、後輩、教え子たちに、死の準備の一環として、ちゃんとメッセージを残しておいてくれたんですよ。
「悲しむことはない。私が旅立って行った先は、この世よりもっと素晴らしい世界なのかもしれないのだから…」
おばあちゃんのプレゼントとイメージがかぶってしまい、涙が…というか、鼻まで出てきてしまいました。

ここ、ドトールなんだけどなー。
壁に向かって座っておけばよかったなー。
と、後悔したのでした。


映画の予告映像はこちら↓でどうぞ。いいモノを出してくれて、Seesaaも気が利くね。



予告を見た印象では、おばあちゃん役のサチ・パーカーさん、とっても素敵です!
キム兄のゲンジさんもはまってるんだろうなぁ。

[関連リンク]
  • 西の魔女が死んだ(映画の公式サイト)
    http://nishimajo.com/top.html
    心地よいテーマソングと美しい映像を楽しめますよ♪

  • 西の魔女が死んだ - goo 映画


  • この記事へのコメント

    MIKALIN
    2008年06月12日
    ももさん、お久しぶりです。(現実世界でもご無沙汰しちゃってますね…m(_ _)m)

    私は「西の魔女が死んだ」という本も映画も知らなかったんですけど
    (世間ズレしていてスミマセン…)
    ももさんのあらすじやコメントを読んでるだけで、『じ~ん』としてしまった個所がいくつもありました。

    「自分の意思で自分の人生を決めている?」って所はドキッとしました。
    最近、なんかただズルズル流されて1日1日過ごしている気がして、ちょっと反省………

    この記事を読んでから映画の予告編を見たら、また『じ~ん』としてきました。

    「西の魔女が死んだ」、この記事を読んで私も興味が沸いちゃいました!!

    映画を観るか、本を読んでみたいです♪( ̄▽ ̄)
    もも@管理人
    2008年06月12日
    ◆MIKALINさん
    お久ぁ♪

    長文を読んでくれてありがとう♪
    書いてるうちに長くなっちゃいました。

    ジャンルは児童文学に入るみたいよ。なので、すぐに読めちゃう短いお話だしね。
    私は、近所の本屋さんで買ったの。うちから一番近いあの本屋さん。
    レジ前のマンガ最新刊平積みの向かいに、文庫本が平積みされてるでしょ? あそこに、POPと一緒にあったよ。
    (なんというジモピーな話を…)

    映画化の話は、原作の世界観が壊れるからって、作者は今まで断ってきたんだって。
    だから、待望の映画化みたい。
    ストーリーやキャストが原作とはちょっと違うらしいけど、どんな仕上がりになってるか興味あるわー♪

    生き物として自然な生き方をする。そうすれば、植物も人も本来の生命力が沸いてきて、命が自然と輝き、幸せになれるのよ…お話全体からそんなメッセージが漂ってくるんですよ。
    自堕落を自覚する現代人としては、グサッときます。
    せめて、物語のなかにいる間は、その優しい時間にひたっていたいし、自分も生き物の時間を無視しちゃいけないんだなって改めて思いましたよ。
    2008年06月12日
    こんばんは☆
    『西の魔女が死んだ』興味あったんです!
    最近ストーリーのある本を読んでいないからな~
    是非読んでみます!
    私もおばあちゃんから習ったことたくさんあります。重なっちゃうな~

    喫茶店で本を読むっていいですね~
    落ち着いていいかも。
    今度実行してみます!!

    え、、でも後悔しちゃったんですか?
    2008年06月12日
    ももさん、予告編だけで引き込まれちゃったよ。
    感動しそうな予感。
    子どもが出てくる映画に弱いわたし・・・
    子どもと一緒に観れるかなぁ
    観たくなっちゃった。
    2008年06月12日
    喫茶店で読書かあ...
    ドトールでマンガ読んでえへらえへらとかはあるんですけど...
    あ、マクドナルドでマンガ読んでて涙ポロリ...ってのもあったっけ!
    2008年06月12日
    この本、ほんとに何度読んでもじーんとしてしまいます。
    「大好き本」だけ集めた棚に、いつもはいっています。(笑)

    わたしのイメージでは、このおばあちゃんは、ターシャ・テューダーさんのイメージもちょっとあるんです。
    自分のスタイルで、自分のペースでゆっくりと毎日を大事に暮らすっていうところが。

    あと、まいのセンシティヴな部分が、その年齢に特有の(同じくらいの年齢でも持たない子もいるでしょうけど)繊細さで、読んでいてせつなくなります。
    「生きにくい子」という言葉にも、いろいろ考えさせられますね。

    ももさん、蛇足だけど、この本が気に入られたのなら、たぶんキョウコ・モリさんの本は、同じタイプの読後感で読めると思いますよ。
    「シズコズ・ドーター」「めぐみ」など、おすすめです。すでに読まれてたらごめんなさいだけど。

    わたしも、喫茶店で本を読むの好きです。
    大体は家で読むのですが、気分を切り替えたいときは喫茶店でわざと読みますよ。
    もも@管理人
    2008年06月12日
    ◆shihoさん
    ぜひ読んでみて!
    shihoさんもきっとおばあちゃんから教わったいろんなことが蘇ってきて、心が動くんじゃないかと思いますよ♪

    喫茶店は私の生活の一部ですから(笑)。
    気が散らずに集中できて、いいんです。
    でも、鼻をすするようなお話を読むのは、ちょっと恥ずかしかったかな。(^_^)ゞ

    ◆nayamomさん
    全身を無条件の愛でつつんでくれるおばあちゃん。
    そうやって愛されることで、人って自分に自信が持てて、積極的に活動できるのかもしれない…って思わされました。
    もちろん子供と一緒でも観られると思いますよ。

    ◆Hirokazuさん
    マンガをえへえへと読むときは、お家にします。
    コンビニで立ち読みして声が出ちゃったこともあって、キケンだから(笑)。
    マクドナルドはうるさいんだもーん。
    あそこで涙ポロリとは大物ですね、Hirokazuさん。
    もも@管理人
    2008年06月13日
    ◆華さん
    華さんにオススメされたように、良い本ですね!
    予告編の映像でも、ターシャ・テューダーさんのイメージと重なりました。
    生活のスタイルも何となくそうですね。
    自分のペースで、自然の恵みを大切に受け取りながら、穏やかに暮らしているところがそっくりですね。

    まいの感受性は、私には何かよくわかるんですよねー。
    だから、おばあちゃんの愛情がどんなに必要であったのかもわかるし、それがまいのなかにちゃんと染み込んでいくのがまたいいなーと思って。

    「シズコズ・ドーター」「めぐみ」ですね。( ..)φメモメモ
    チェックします!
    華さん、ありがとう!

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