『イギリス式暮らしガーデン』

『イギリス式暮らしガーデン―食べものづくり! 安らぎづくり! 』(だいわ文庫)という本のタイトルに惹かれました。
イングリッシュガーデンといったら、巨大で庭師が手入れしている庭園を思い浮かべませんか?
ガーデニング誌に出ているお庭って、そういうのが多いですよね。
でも、日本の庭は水戸の偕楽園とか小石川後楽園や足立美術館の日本庭園かといったら、そうじゃないでしょう?
(例え、ヘンかなぁ?…笑)
少なくともうちの近所は、ひしめく合うようにお家が建っていて、新しい住宅ほど、庭は狭いです。
古い大き目の庭付きの住宅が手放されると、さら地に5軒くらいぎゅうぎゅう詰めで家が建ちます。
それが現実。全部とは言ないけど、日本における一つの現実。
素敵なイメージが先行しているけど、イギリスの一般家庭の庭って気になりませんか? どんなふうに暮らしているか、知ってますか?
私は知らない。だから、興味があるんです。
この本は、私の興味を刺激して、答えを教えてくれました。
イギリスでは、暮らしのスペースとしてガーデンを使ってるんですよーということが、事例を紹介しながら書かれています。
筆者は、それに対して日本の庭って物置代わりに使われたり、木で土地をふさいでいてもったいないですよー、と言ってます。
私がイギリスの田舎で迷子になったとき、建築中の家の前を通りかかって、誰もいなかったので興味津々でのぞいたことがあるんです。
すごく不思議に思ったのは、家はウサギ小屋と揶揄される日本の家と比べても、小さかったこと。1階はダイニングキッチンとあと1室あるかなーという感じで、キッチンも狭いの。建坪は20坪ないんじゃないかなー。なのに、お庭はその3倍くらいの敷地を取ってあるのね。
家は間口の狭い長屋式。
その奥に、細長く庭があるという具合です。
入り口の前にも、1歩分くらいだけど植栽のスペースを設けてあって。そこは道路の延長みたいにフラットで柵がないので、誰でも入れちゃう。
イギリス在住の友人に聞いたら、「まあ、そんな感じ。普通かな」という答えでした。
その土地ならではの理由があってそういう形になっているんだろうけど、イギリスでの住宅・庭への希望や価値ってどうなっているんだろうと、興味がわいたのでした。
そのナゾが、この本のお陰でわかりました。
イギリス人にとって、リビングから広がる庭はもう一つのリビングであること。
リビングだからくつろげなくちゃいけない。だから、庭の奥行きによって、向かいの家との距離を置いて、視線を感じずにくつろげるようにされていること。くつろぎのスペースだから、余計なモノを置かないこと。
冬が寒いイギリスでは、長屋式で壁を共有することもあまり家を大きくしないことも、暖房効率の点で理に適っていること。
家を買うときに、セキュリティサービスへの加入がセットになっていること…など。
家について望むことの違いにも言及されていて、興味深く読みました。
イギリスの住宅にはベランダがないとか…。
ベランダがないと、私は生きていけない(笑)。だから、この半年のつらかったこと!
日本は布団を干すんだから、同じにはいかないですもんねー。
そ。イギリスでは布団を干す必要がないんですって。詳しくは本を読んでくださいねー。
イングリッシュガーデンが素敵だからといって、何でも真似する必要はないし、気候や生活文化が違うのだから、違って当たり前なんですよね。
「当たり前」が違うことへの驚きは、面白いってことでもあります。
イギリスでは芝生は手の掛かるものではないってことも、ちょっとしたカルチャーショックでした。
日本では、芝生って手が掛かって、維持費が掛かるものなんですよねー。そういう気候なんですって。芝生へのあくなきチャレンジをしている在日英国人のエピソードに、くすっと笑いました。情熱の掛け方が違うもの。
そんな日本で管理しやすい芝の種類も紹介されています。
そんなこんなで、庭から見たイギリス事情って、面白い切り口だなーと思いました。
筆者が現地の人に投げかけた質問が、きわめて日本人的な発想だと一笑に付されるところも、興味深かったし。
ただ、最後に疑問も残ったんですけど…。
日本人が庭の物置にしまったり、庭に置かざるを得ないモノを、イギリスではどこにしまってあるんでしょう?
それとも、そんなモノは家庭にはないのかしら?
そもそも、こういう発想が日本人特有なのかしら?
それは同じ筆者の『イギリス式収納―小さな空間で見せる!片づく!』を読まなくちゃいけない(笑)?
同じ本屋さんに行ったら、もう売り切れだったのよー。
あ、そうそう。
この本を読んで、ベランダにくつろいで座ることのできるスペースが欲しくなりました。
せっかくベランダがゼロに戻った今なら、なんとかなるかもっ?!
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イギリス式暮らしガーデン―食べものづくり! 安らぎづくり! (だいわ文庫) | |
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