ルポ:花展(3)
直接このページに飛んできた方は、ぜひ「ルポ:花展(1)」「ルポ:花展(2)」もご覧になってくださいね。
今回の展示会の目玉の一つである「ムーンダスト」のアレンジはきれいでしたよー。格好の撮影ポイントですね。
たっぷりのムーダストと、最上部には白い胡蝶蘭をあしらって、噴水を思わせるような大きなアレンジ。力が入ってるなーという感じがビシバシしました。
宣伝文句は「青いカーネーション」ですけど、実際はきれいな紫のカーネーションですよ。
Photoshopのスポイトツールで花の色をピックアップしたら、マゼンタ100でした。やっぱり青とは呼べないわ。業界としては、言葉の意味を曲げてでも「青」と言いたいんでしょうけど、胸を張って「従来にない美しい紫色のバリエーションです」と言ってもいいんじゃないかしらね。
色はキレイだし、紫にも色幅があるので、アレンジも楽しめていいんじゃないかな~。売店では切花のセットやアレンジも販売していましたよ。切花は3本で1,200円。私はちょっと手が出なかったけれど、買ってるお客さんもいました。
紫色でアレンジができるって面白いかもしれませんね。
チューリップがいろいろあったのに、足を止める人は少なかったですね。ありふれていて、珍しくもないってことなのかな。
薄いピンク色でフリンジ咲きのチューリップ‘乙女桜’が見ごろでした。チューリップももうシーズンが終わりだと思うと、ちょっとお名残惜しいような気がしました。
(現在はチューリップの展示は終了し、他の花が展示されています。)
桜草の展示にはあまり興味が持てなかった私…。あんまり人のことをとやかく言えた義理ではありませんね(笑)。
写真を撮るには撮ったけど、思い入れが足りなさ過ぎて面白みに欠ける写真になってしまったので、載せるのは止めておきます。
この展示はコンセプトが良くわからなかったけど、おそらく「フランス風バラのある暮らし」といったところなのではないでしょうか。根拠はなくて、なんとなくそうかなーと思っただけなんですけどね。
なんか、国際バラとガーデニングショウの展示物のなかにも、この展示のクロスと同じようなテイストの物が使われていたみたいですね。国バラは行ってないので、行った方のブログを見ただけなんですけど。
小さなコテージ風の建物の入り口には、オリーブの木が植わり、足元にはバラが。アンティーク風の椅子に小さなほうき。頭上には白いワイヤーの鳥かご。小さな部屋には白いワンピースが掛かっていて…。まるで洋書の1ページを見ているみたい。
建物の入り口にある「ポールズ ピンク」というピンク色のバラがキレイで、写真を撮っている人が多かったです。もちろん、圧倒的に女性でしたよ。
お家に付いていたミモザとオリーブの柄が入ったおしゃれなプレートには「Salle de Bains」の文字が。聞き覚えのあるフレーズなんですよね。絶対口にしたことがある…。
後日調べてみたら、やっぱりフランス語でした。日本語にすると「浴室」。風呂ですよっ、風呂。んもう、意味がわかったら、なんかガックリきちゃったなー。
源氏物語のジオラマと言いますか、4分の1スケールという六條院の模型がありました。なぜこれがあるのかな? 桜が出てくる話だから?
このシーンはというと…。
桜の咲く六條院の庭で蹴鞠が行われていて、女たちは部屋の中からそれを眺めています。疲れた夕霧と柏木が階段に腰を下ろしているところへ、御簾の内側から子猫が飛び出してきて、その瞬間、柏木は源氏の君の正室となった女三の宮の姿を見て恋に落ちる…という場面です。
この模型や人形がよくできていて、しばし浸ってました。(o ̄▽ ̄)ノ
桜の咲く庭で男たちは蹴鞠に興じている。女たちはそれを、薄暗い部屋の中から、御簾のさらに内側の几帳越しに見ているなんてね…。
学校の授業で聞いた記憶によると、この時代の貴族の女性たちは、自分ひとりで立ち上がることもままならず、歩くときは膝でずりずりと歩いていたとか。
部屋の外と内では、動と静、明と暗がきっちり分かれていて、別の世界だったんですね。
蹴鞠する男たちの姿は、女性たちの目にはさぞかし輝いて見えたのではないでしょうか。
平安時代と来れば、十二単は欠かせませんね。
「紅梅襲」と書いてあったみたいだけど(画像からちょっと読み取りにくいので自信はないです)、それ以上の説明はなし。
展示会全体に感じたことだけど、説明が不足しているんですよねー。
今まで博物館を見てきた経験だと、少なくとも「○○所蔵」くらいは書いてあるのに、それもなし。
その隣にあるパネルには、万葉の昔から日本人が花を愛でて歌に詠んできたこと、色合わせには名前が付いていて花の名前が多用されていたこと、季節を表す色の組み合わせがあったことなどが書いてあります。
日本文化と花を語るには、文章の量があまりにも少なかったなー。
おしくらまんじゅうしてくる暴れ盛りの子供たちに阻まれて、ちゃんと読めなかったのが残念。そこにもっと何か書いてあったのかな。
平安時代には色合わせが流行し、そのセンスの良さが競われたんですよね。着物だけでなく、手紙に使う紙も色合わせのセンスが問われたわけです。源氏物語でも、源氏の君が色合わせにも教養が表れていると明石の上を絶賛したり、ガキっぽくてちゃらいなーと女三の宮を軽視するシーンもありました(私の記憶が正しければ…)。
そういうイメージが膨らむ話の一つでも、あったら良かったんですけどね~。
第1会場の最後の展示物は、いけばなです。
世界に誇る日本の花の文化。そのキャッチフレーズに異論はないけれど、「うんうん、そうだよねー」と納得できる材料がほしかった。
いけばなの内容も、玄人好みする感じでしたね。花を使ってたっけ? 小さな日本庭園のようでした。
いけばなも撮影禁止なのです。
第2会場では、「近代分類学の父」と呼ばれるスウェーデンの研究者カール・フォン・リンネの研究資料が展示されています。今年、生誕300年だそうです。
あー、上野の博物館にいるんだなーと思えたのがここでしたね。大型本に小さな字でたくさん書いてあることに、膨大な研究であることが表れていました。もちろん、私はまったく読めないんですけど、本物の迫力がありました(なんてアバウトな感想…)。
現代アート風な花の写真も展示してあります。
ただ、全体的に、裏づけとなる資料なり説明なりが乏しいと感じました。なぜこの展示があるのかが伝わってきにくいのね。
さらに、「展示と展示を結ぶ意図なり趣旨といったものが、もう少し上手に表現できていればもっと心に残るのに」と残念に思う箇所がかなり多かったです。
オプションの音声解説またはガイドブックを買いなさいってこと? そんな~。
第1会場の最初の3分の1にお金が掛かっているなーという印象が強かった分、途中は詰めが甘いと思いましたね。そのムラが気になりました。
そして、何と言っても、「青いバラ」の見せ方にもっと工夫がほしかった。だって、見せどころの一つでしょ?
「青いケシの花」にしてもそうだけど、気分が盛り上がる演出なり解説なりがほしかったなー。
ルポ:花展(1)を書いた後で気が付いたんですが、花展公式サイトには、苦労して青いケシを咲かせたことが書いてありました。そういうのを、会場で知ることができたら、もっと感動できるのに。
もっと端的に言うなら、いろんな部分を広く浅くつまみ食いしつつ、感情も感動も交えず構成している教科書みたいな印象。
一体、誰向けの内容だったんだろうと疑問が残っちゃいました。実は子供向けだったとか?
この展示会のキャッチフレーズは、「人はどうして、花をきれいだと思うんだろう。」。
その答えは、始めのほうの展示物(特にビデオ)を見れば、自ずと答えは出るんじゃないかな。
会そのものを表している言葉とは言えないですね。
人は心できれいと思うもの。その心に揺さぶる力を、全部とは言わないまでも、多くの展示物から感じることができなくて、なんかモヤモヤが残りました。
[関連する過去の記事]
ルポ:花展(2)(2007/5/22)
ルポ:花展(1)(2007/5/21)
上野で「サントリーの青いバラ」披露(2007/3/8)
公式サイト・ブログの情報はこちら↑で確認してね。
暮らしを彩る花々

たっぷりのムーダストと、最上部には白い胡蝶蘭をあしらって、噴水を思わせるような大きなアレンジ。力が入ってるなーという感じがビシバシしました。
宣伝文句は「青いカーネーション」ですけど、実際はきれいな紫のカーネーションですよ。
Photoshopのスポイトツールで花の色をピックアップしたら、マゼンタ100でした。やっぱり青とは呼べないわ。業界としては、言葉の意味を曲げてでも「青」と言いたいんでしょうけど、胸を張って「従来にない美しい紫色のバリエーションです」と言ってもいいんじゃないかしらね。

紫色でアレンジができるって面白いかもしれませんね。

薄いピンク色でフリンジ咲きのチューリップ‘乙女桜’が見ごろでした。チューリップももうシーズンが終わりだと思うと、ちょっとお名残惜しいような気がしました。
(現在はチューリップの展示は終了し、他の花が展示されています。)
桜草の展示にはあまり興味が持てなかった私…。あんまり人のことをとやかく言えた義理ではありませんね(笑)。
写真を撮るには撮ったけど、思い入れが足りなさ過ぎて面白みに欠ける写真になってしまったので、載せるのは止めておきます。

なんか、国際バラとガーデニングショウの展示物のなかにも、この展示のクロスと同じようなテイストの物が使われていたみたいですね。国バラは行ってないので、行った方のブログを見ただけなんですけど。

建物の入り口にある「ポールズ ピンク」というピンク色のバラがキレイで、写真を撮っている人が多かったです。もちろん、圧倒的に女性でしたよ。
お家に付いていたミモザとオリーブの柄が入ったおしゃれなプレートには「Salle de Bains」の文字が。聞き覚えのあるフレーズなんですよね。絶対口にしたことがある…。
後日調べてみたら、やっぱりフランス語でした。日本語にすると「浴室」。風呂ですよっ、風呂。んもう、意味がわかったら、なんかガックリきちゃったなー。
日本文化には花が欠かせません

このシーンはというと…。
桜の咲く六條院の庭で蹴鞠が行われていて、女たちは部屋の中からそれを眺めています。疲れた夕霧と柏木が階段に腰を下ろしているところへ、御簾の内側から子猫が飛び出してきて、その瞬間、柏木は源氏の君の正室となった女三の宮の姿を見て恋に落ちる…という場面です。
この模型や人形がよくできていて、しばし浸ってました。(o ̄▽ ̄)ノ
桜の咲く庭で男たちは蹴鞠に興じている。女たちはそれを、薄暗い部屋の中から、御簾のさらに内側の几帳越しに見ているなんてね…。
学校の授業で聞いた記憶によると、この時代の貴族の女性たちは、自分ひとりで立ち上がることもままならず、歩くときは膝でずりずりと歩いていたとか。
部屋の外と内では、動と静、明と暗がきっちり分かれていて、別の世界だったんですね。
蹴鞠する男たちの姿は、女性たちの目にはさぞかし輝いて見えたのではないでしょうか。

「紅梅襲」と書いてあったみたいだけど(画像からちょっと読み取りにくいので自信はないです)、それ以上の説明はなし。
展示会全体に感じたことだけど、説明が不足しているんですよねー。
今まで博物館を見てきた経験だと、少なくとも「○○所蔵」くらいは書いてあるのに、それもなし。
その隣にあるパネルには、万葉の昔から日本人が花を愛でて歌に詠んできたこと、色合わせには名前が付いていて花の名前が多用されていたこと、季節を表す色の組み合わせがあったことなどが書いてあります。
日本文化と花を語るには、文章の量があまりにも少なかったなー。
おしくらまんじゅうしてくる暴れ盛りの子供たちに阻まれて、ちゃんと読めなかったのが残念。そこにもっと何か書いてあったのかな。
平安時代には色合わせが流行し、そのセンスの良さが競われたんですよね。着物だけでなく、手紙に使う紙も色合わせのセンスが問われたわけです。源氏物語でも、源氏の君が色合わせにも教養が表れていると明石の上を絶賛したり、ガキっぽくてちゃらいなーと女三の宮を軽視するシーンもありました(私の記憶が正しければ…)。
そういうイメージが膨らむ話の一つでも、あったら良かったんですけどね~。
第1会場の最後の展示物は、いけばなです。
世界に誇る日本の花の文化。そのキャッチフレーズに異論はないけれど、「うんうん、そうだよねー」と納得できる材料がほしかった。
いけばなの内容も、玄人好みする感じでしたね。花を使ってたっけ? 小さな日本庭園のようでした。
いけばなも撮影禁止なのです。
第2会場では、「近代分類学の父」と呼ばれるスウェーデンの研究者カール・フォン・リンネの研究資料が展示されています。今年、生誕300年だそうです。
あー、上野の博物館にいるんだなーと思えたのがここでしたね。大型本に小さな字でたくさん書いてあることに、膨大な研究であることが表れていました。もちろん、私はまったく読めないんですけど、本物の迫力がありました(なんてアバウトな感想…)。
現代アート風な花の写真も展示してあります。
全体の印象
入り口から「青いケシ」までの展示は楽しめました。「香り体験」も面白い企画だと思います。会場でしか体験できないっていうのが、足を運ぶ価値を生むと思います。ただ、全体的に、裏づけとなる資料なり説明なりが乏しいと感じました。なぜこの展示があるのかが伝わってきにくいのね。
さらに、「展示と展示を結ぶ意図なり趣旨といったものが、もう少し上手に表現できていればもっと心に残るのに」と残念に思う箇所がかなり多かったです。
オプションの音声解説またはガイドブックを買いなさいってこと? そんな~。
第1会場の最初の3分の1にお金が掛かっているなーという印象が強かった分、途中は詰めが甘いと思いましたね。そのムラが気になりました。
そして、何と言っても、「青いバラ」の見せ方にもっと工夫がほしかった。だって、見せどころの一つでしょ?
「青いケシの花」にしてもそうだけど、気分が盛り上がる演出なり解説なりがほしかったなー。
ルポ:花展(1)を書いた後で気が付いたんですが、花展公式サイトには、苦労して青いケシを咲かせたことが書いてありました。そういうのを、会場で知ることができたら、もっと感動できるのに。
もっと端的に言うなら、いろんな部分を広く浅くつまみ食いしつつ、感情も感動も交えず構成している教科書みたいな印象。
一体、誰向けの内容だったんだろうと疑問が残っちゃいました。実は子供向けだったとか?
この展示会のキャッチフレーズは、「人はどうして、花をきれいだと思うんだろう。」。
その答えは、始めのほうの展示物(特にビデオ)を見れば、自ずと答えは出るんじゃないかな。
会そのものを表している言葉とは言えないですね。
人は心できれいと思うもの。その心に揺さぶる力を、全部とは言わないまでも、多くの展示物から感じることができなくて、なんかモヤモヤが残りました。
[関連する過去の記事]
公式サイト・ブログの情報はこちら↑で確認してね。
この記事へのコメント
わたしも実際足を運んでみて感じてみたいと思います。
カーネーション綺麗ですね。
「青」にこだわる理由ってなんだろ??
ビジネスに対しては、私、シビアなんですよねー。
> 「青」にこだわる理由ってなんだろ??
自然界にあまりない色だからでしょうね。
色の構造も複雑なんですって。
難しいとか、不可能とされるものにチャレンジしたくなるのが人間のさがなのかもしれないですね。
「青いバラ」の他にも、「黒いチューリップ」「赤いパンジー」なども実現しようと研究されているそうですよ。
思ってたより「もりだくさん」な内容なんですねー。
「紅梅襲」については、きっと「配色の名前」なので着物自体は貸衣装屋さんにあるようなモノだと思いますが、
ももさんのルポ全体を通してみるとやっぱり説明不足な展示なのかな、と思いますねー...
「青い花」といえば、いつものスーパーの花売り場で、
『青い花特集!』と書いたPOPが...
そこには「ブルーデージー」「ブルーサルビア」そして.......それだけ..!
スーパーの一角の花屋さんだ。その「ココロザシ」は評価しよう。
...そう思うコトにしましたヽ(ー_ー )ノ
徒に長くなってしまいましたー。
自分のなかの消化不良なモノを、文章にすることで何とか消化しようというあがきみたいなものかもしまれせん。
ま、感想は十人十色だと思いますけどね。
> 「紅梅襲」については、きっと「配色の名前」なので
なるほど!! さすが、Hirokazuさん!
Hirokazuさんから教わることが多いなー。
「青い花特集!」笑いました。(〃^∇^)o_彡☆
スーパーの一角じゃあねぇ…。
むしろその勢いを評価すべきかもしれませんね♪
もしかして、アンダー100円ワールドの聖域ですか?