残るもの

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軽度の認知症のおじいさんたちと話す機会がありました。

もちろん、そのまでの人生がいろいろなので、話し方も接し方も人それぞれです。どなたもいきなりフレンドリーにお話ししてくれるわけでもありません。ただ、お話しているうちに、より丁寧な柔らかい物腰になったり、親切にしてくれたり、頼りがいのある紳士になる人がいるんです。

「いいからいいから。その椅子は俺が片付けておくから。あんたが運ぶ必要はないよ。力仕事は女の人がやることじゃない」と言ってくれたのは、車椅子のおじいさん。毎日全面的に女性スタッフから介助を受けています。

「もう疲れたでしょう。代わりに書いてあげよう」と言ってくれた人は、車椅子で片麻痺のおじいさん。私の手元の字は、たぶんまったく見えてない。

「今日は雨だからね。そろそろ暗くなる前にお帰りなさい。気を付けて帰るんですよ? ああ、そうだ、タクシーを呼んであげたほうがいいかな? 今ちょうど若いのが出払っていて、悪いね。送ってあげられたら良かったんだけど」と言ったおじいさんは、話しているうちに、バリバリ仕事をしている時代に心が戻っていました。ちなみに、外は晴天の昼間。

頭の回路から抜け落ちたものがあるのに、紳士的な振る舞いはまだ色鮮やかに出てくる。そんなことを目の当たりにして、人って愛しいなと思いました。


そう言えば、田辺聖子さんが書いていたっけ。美貌と才覚は年齢とともに色あせてゆき、最後に残るのは愛嬌だと。

祖父の場合は気性の荒さが抜け落ち、頑固さとべっぴん好きが残りました。
祖母は家族への愛情と愛嬌が残りました。

私の場合、残るものがあるとしたら何だろう。きっと淑女の振る舞いは残らない…というか、元から持ってないし(笑)。祖母ほどの愛嬌もないし…。可愛げのない人になりそうだなー。^^;

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